2008.07.24

アナログ三昧/肩にかけるチェロ?

Johan Sebastian Bach / 無伴奏チェロ組曲 BWV1007-1012
寺神戸 亮 / ヴィオロン・チェロ・ダ・スパッラ


以前に、無伴奏ヴァイオリンソナタを聴き初めにする話の折に、いつもは無伴奏チェロ「ソナタ」を聴くとつい書いてしまって、バッハには無伴奏チェロ「ソナタ」はないとのご指摘をいただきました。その通りです。
ま、ソナタといってもバッハの時代は、ベートーヴェンのソナタのようなものではなく、教会ソナタの様式を用いた曲というような意味だったのではないでしょうか。
それに対して、組曲とはフランス風に序曲と5つの舞曲を合わせた曲ですね。失礼いたしました。

さて、ここでタイトルにしたレコードはCD(正確にはSACDとのハイブリッド盤です)なので、アナログとは違うのですが、おもしろい楽器が使われているので、書いてしまいました。

大バッハの時代は、楽器が今のように完成されて固定化している時代ではなく、新しい楽器がどんどん工夫されていた時代であったようです。チェロという楽器もヴィオール族の中で、ヴィオロン・チェロとよばれていて、大きめのヴィオラというような楽器だったみたいです。しかも、今のように足ではさんで弾くもの(例えばヴィオラ・ダ・ガンバのように)ではなかったかもしれない。バッハの時代には肩にあてて演奏する楽器だったかもしれないというところから、この楽器の複製(創造?)がはじまったようです。
しかもドミトリー・バディアロフさんとくロシア人が八王寺の工房で製作したとのこと。とても、おもしろいではありませんか。
古楽器の演奏は、17世紀、18世紀にはどんな音がしていたんだろうかという想像力を刺激してくれます。このレコードもそういう点で、とても興味深いです。

しかし、実際にこのレコードの音をきいて、ちょっと残念に思いました。CDとSACDのハイブリッド盤として重層構造になっているせいか、音が冴えません。私が、うまく再生できなかったせいかもしれませんが、途中で聴くのをやめてしまいました。
気をとりなおして、もういちど聴いてからご報告することにいたしましょう。

では・・・

by SOUNDBOX

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2008.07.21

'65のジョンコルトレーン

ジャズの世界に限らず未発表音源が発掘され、CDのボーナストラックとして発売されたり、未発表のライブアルバムとして、突然姿を現わしたりすると、アナログ(レコード)ファンとしては、内心穏やかでなくなることが多い。
そんなときには、CDはデータの容れ物として容認しようと購入するのだが、やはり長く聴き続きけることができないのは、単に私が偏屈なだけでしょうか・・・

そんな中でも、1978年にマイケル・カスクーナがジョン・コルトレーンの1965年録音中の未発表テイクを集めたレコードをつくっていた。
もともとボブ・シールのプロデュースでヴァン・ゲルダーのスタジオで録音されたものとニューポート・ジャズフェスティバルのライブをあわせたものです。

1965年という年は、コルトレーンの黄金カルテットが解散してしまう直前で、その意味からもとても重要なレコードだとのことです。
ちなみに彼の最高のカルテットは

ピアノ マッコイ・タイナー
ベース ジミー・ギャリスン
ドラムス エルヴィン・ジョーンズ

をバックにしたコルトレーンということになります。

このあと、ファラオ・サンダース(ts)やラシッド・アリ(ds)を迎えて、コルトレーンの音楽はどんどん変化していくのです。
そして、マッコイタイナー、エルヴィンジョーンズが退団し、「至上の愛」'64録音に代表される黄金のカルテットは解散してしまいます。

そんな、崩壊前夜の爛熟の音楽というか、そんな濃い音がきけるようなレコードです。
行き着くことろまで行き着いた感さえある1965年のコルトレーン。
彼はもともとアヴァンギャルドではないと思ってるのですが、きっとここに録音されているような閉息状況を打破するにはメンバーを入れ替えて、新しい世界へと進む必要があったのだろうなーと推測するのです。

いずれにしても、保守的なプロデューサー、ボブシールが使わなかった音源が伝える真実を聴いてみましょう。
彼の音楽は、心を開いて、なんでも受け入れる姿勢で聴かないと、本当の意味が伝わらないのでしょうから・・・


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サンオーディオの昇圧トランス

前回の記事が2005年の1月ですので、三年半ぶりに書き込むことにします。
前回までの記事を読んでいただいた方々、コメントをいただいた方々には、お返事もせずに申し訳ありませんでした。とにかく書くのが遅いのと、元来、不精なものですので、お許しください。

さて、今回アナログ三昧のテーマは、MCカートリッジ用のステップアップトランス(昇圧トランス)です。

行きつけのオーディオショップを訪ねると、サンオーディオで新しい昇圧トランスの試作品がきているので是非試聴してはとのことでした。
サンオーディオのアンプは何台か組み立てましたが、質実剛健なよい機械で、フォノイコライザーからプリアンプ、パワーアンプと愛用しています。
特にタムラのトランスを使っているところが本格派です。
この試作品昇圧トランスもタムラのトランスを二組計4個搭載しているとのことで、社長さんの手書きの手紙がついていて、試聴のコメントをぜひ欲しいとのことでした。

とにかく、家にもって帰り、愛用のトランスDENON AU-320に替えて、接続をしてみました。

音を出してびっくり!
レコードの上に貼った膜を一枚二枚はがしたような、はっきりした、しかも太い音がするではありませんか!
DL-103というカートリッジは、こんなに太い音をだすのかと、改めて感心することしきりです。
まてよ、これはひょっとしてレコードが変われば音もかわるだろうと、ジャズにクラシックといろいろなレコードをかけてみましたが、すべて傾向は同じ。
音が大きく、太くなり、アタックが強くなり、ダイナミックになり、高い音から低い音までなめらかに、柔らかくなり、融通無碍というかなんというか、トランスだけでこんなに音が変わってしまうのだという発見につぐ発見でありました。

オルトフォンSPUを、3Ω端子につないでみました。これも悪くはないですが、AU-320の方がスケール感のある音がして、相性がいいように思えました。

DL-103を40Ω端子に接続したときの音は、何度もいいますが「すごい!」のでした。

このまま、このトランスを自分の物にしたいという欲望に逆らって、翌日、試作機を返しにいきました。返せなくなる前に・・・

ということで、このトランスはSAT-2000という型番で製品化され発売されました。
自宅にも、発売後すぐに設置させていただきました。
今では、レコードを全部ききなおしたいという気持ちです。
CDの音がまた、薄っぺらい、かげろうのような音に聞こえてくるのでした。
アナログは奥が深い。

未体験の方は、近くのオーディオショップを通じてぜひ試聴してみてはいかがでしょう。
私の話がオーバーな誇張ではないことがわかっていただけるものと思います。

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2005.01.11

ボズ・スギャッグス Boz Sgaggs & Band

Bozsgaggs1ボズ・スギャッグス
Boz Sgaggs & Band

いつもの中古レコード屋で、このレコードのタイトルを見た時に「Boz Sgaggs & THE BAND」だと思い込んで買ってしまった。
帰ってジャケットを見るとミュ−ジシャンの名前にThe Band のクレジットがない。
あれっt?と思って表のタイトルを見ると[Boz Sgaggs & Band] だった。
管楽器も入れたバンドをバックにしたアルバムという意味だったんだ。

一瞬失望したが、最初の音をきいておどろく!
ボズ・スギャッグスはとても洗練された都会派の音楽だと思っていたが、その音はとても野性的で、野太い、安定感のある音だった。
そう、ちょうどホーンの入ったブルース・バンドの音だ。
あっというまにA,B両面が終わり、もう一度A面から聞き直す。
アコースティックで自然な音楽。
適度なリラックスとソウルフルの同居。
彼の声がドウーワップ・グル−プのリードヴォーカルのようだ。
グリン・ジョーンズのプロデュースらしいが、録音はほとんどがロンドンで行われている。
出てくる音は、いかにもアメリカの音の大地にひびく音というふうに感じるのは僕だけだろうか・・・。

ともあれ、この一枚は、僕の愛聴盤になりそうだ。

アルバム裏のボズの顔写真は、若くて、髪が長くて、「おれは音楽を楽しんでいるミュージシャンだぜ」と語っている。

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2005.01.05

天上のソプラノ エマ・カークビー

V.A.モーツアルト  モテット集
K165 Exsultate, jubilate
K108 Regina coeli
K143 Ergo interest
K127 Regina coeli

エマ・カークビー(ソプラノ)
クリストファー・ホグウッド(指揮)
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック管弦楽団、合唱団
ウェストミンスター・大聖堂少年合唱団

エマ・カークビーの声をきいたことがありますか?
ソプラノ歌手というだけではその澄んだ声を説明したことにはなりません。
オペラ歌手のような押し出しの強さはない。
逆にその押しつけがましさや、嫌みもない。
強いていえばボーイソプラノの無垢な響き。
大聖堂に降り注ぐ天使の声。
モーツアルトの天上のメロディーには、これ以上ぴったりの人がいるでしょうか。
宗教曲なので歌詞はラテン語ですが、有名なハレルヤのメロディーをきけば、さすがモーツアルトと納得することまちがいなしです。

彼女は音楽の専門ではなく、大学では哲学とか歴史を専攻していたそうです。
素人として音楽をスタートしたとはとても信じられません。
私がはじめて彼女の声を聴いたのは、エリザベス朝の歌曲集だったとおもいます。
今までに、素直に響く声をきいたことがありませんでした。

このレコードは1983年に録音されたもので、すでにデジタル録音なのですが、私はそれを アナログ・レコード(英デッカL'oiseau-lyre 411832-1)で聴きました。
エマ・カークビーの声がキングズウェイ・ホールに響き、そして自然に消えていくまでが聞き取れます。
この人の声が、きれいに聞こえるスピーカーは良い!ということで、機械の判断基準(レファランス)に使わせてもらっています。
実際、この曲のCDをもっていって秋葉原で選んだのはハーベス(Herbeth)HL-compact 7 というイギリスのブックシェルフ型のものです。
日本のものだと、三菱ダイヤトーンの16cmのフルレンジP610も、彼女の声がすばらしくきこえるスピーカーだと思います。

クラシックとかポップスとかに関係なく、人間の歌声にはなにか根元的な魅力というか、音楽のルーツに通じるものを感じます。

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2005.01.02

聴き初め バッハ無伴奏

バッハ 無伴奏バイオリンソナタ・パルティータ
BWV1001〜1006
ヘンリク・シェリング

新年の聴き初めは、バッハの曲に決めている。
例年は、無伴奏チェロソナタということになっていたが、今年は無伴奏バイオリンということにした。
バイオリン曲の聖書というべきこの曲に名演奏は多い。
中でもLP時代の最右翼は、ヨゼフ・シゲッティー、ナタン・ミルシュテン、などではないでしょうか。
最近ではギドン・クレーメルやその他の若い演奏家のものもたくさんあります。
古楽器の演奏ではシグスバルド・クイケンがバロックバイオリンで2度録音しているものがあり、どちらも名演奏です。
でも、私にとってバッハの無伴奏といえば、ヘンリク・シェリングが一番という先入観があります。
というのも、彼がアルヒーフに録音したステレオ盤が、私の青春時代のあこがれの名盤だったからです。
この演奏は大げさになりがちだったこの曲独特のアルペジオ(分散和音)をシェリングが見事に、きれいに、清潔に弾ききっているからです。
この曲は、メロディー(旋律)を演奏するのに適したバイオリンという楽器で、複数のメロディーを同時に演奏するポリフォニー音楽を独奏するという大変ストイックな表現をとっているため、ほとんどの演奏が和音をアルペジオ(分散和音)で演奏することになってしまいます。なぜならバイオリンは、弦が平面にならんでいないので、一度に二つ以上の音を出しにくい構造になっているからなのです。
クイケンは、弦を比較的平らに並べたバロックバイオリンを使って、自然な素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
19世紀以降のバイオリンで、この難題に明快な答えを出したのが、ヘンリク・シェリングだったのです。
アルヒーフのステレオ盤はその意味で重要なレコードでありました。

しかし、ここでとりあげるのはシェリングが1955年にエンジェル(EMI)に録音したモノラルの録音です。
これは、彼の35〜6歳の頃の録音で技術的にも充実した、そして若々しいエネルギーのほとばしりを感じさせる録音なのです。
そして、モノラルながらEMIの録音がすばらしい。
豊かな楽器自体の太い響きと、音が消えていくまでの音場の響きが解けあって、とろけるような豊かな響きを再現してくれるのです。
後のステレオ録音も、この響きを味わったら神経質に聞こえてしまうでしょう。
もちろん、この録音を最高の状態で楽しもうとするならば、レコードプレーヤーに一工夫しなければいけません。
それは、現代のステレオ・カートリッジを使わないことです。
モノラルにはモノラルの再生装置を使いましょう。
我が家では、通常デンオン(現デノン)DL-101というステレオカートリッジを使っています。
10K円ちょっとの普及品ですが、たいへん太い音がします。
でも、このレコードには、ちょっといけません。
同じく、デノンDL-102というモノラル専用のカートリッジを使います。
一度ためしてみると、その違いに唖然となること請け合いです。

バイオリンの弦から放たれたバッハのメロディーが、楽器の駒から胴に伝わり、響きをふくらませ、F字の穴から大きく響きをふくらませ、演奏の会場をふるわせる。その音が何重にも溶け合ってこのレコードには刻まれている。
たいへん幸せな時間をすごせるレコードでした。

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2004.12.28

アナログ・プレーヤ P3登場

<出会い>
2004年の師走に、中古ハードウェアを扱う店の棚に、不釣り合いな
ローズウッドの大きな箱がおかれていました。
それは、1980年代にパイオニアが総力をあげて世に送り出したアナ
ログ・レコード・プレーヤー「エクスクルーシブP3」でありました。
実物を見たのは初めてだったので、意外におとなしい外観だなーとの
感想をもちました。
何か「出会い」のようなものを感じ、数日を経ずにこの「P3」は私の家
へとやってきました。
その、一週間前に腰を痛めて立ち上がれない状態であった私は、50
kgもある機械を、一人では家の中に入れることはできませんでした。
女房の助力でなんとか部屋に納めたが、どこに置くか確定していない。
とりあえず、50kg用のキャスターを2台並べた上に置いて音を出すこ
とにした。

<音>
レコードの直径ほどあるモーターのトルクは凄いもので、手で触ったく
らいでは、止まることはない。
スタートもスイッチを入れた瞬間(0.3秒らしい)で規定の回転に達す
る。
うーん、すごい。
アームは、オイルダンプ式で、なんかグニャグニャした動きをする?!
よくわからないが、とりあえず音を出そう。
附属のDL103に針圧を合わせて、手元にあったウィンナワルツをかけ
る。
何だかわからないが、重心がだんだんと下がってきて、オーケストラの
低音
がしっかりとしてくる。バイオリンの高音がやかましくない。
全体にしっとりとした、しかも安定した音が聞こえる。
へんな共鳴や、歪みが少ないのだということが、すぐわかった。
うーん、これは奥が深い。
パイオニアはすごいものをつくっていたのだなあ。(知らなかった・・・)

続く

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2004.02.18

シュバイツアーのバッハ

シュバイツアーのバッハ
                         by SOUNDBOX

アフリカで病院の建設につとめ、ノーベル平和賞を受賞した20世紀の偉人、、シュバイツアーのバッハオルガン演奏である。
彼はミュールハウゼンとパリで正式にオルガン演奏を学び、敬けんな信仰心からバッハの音楽を研究し、本も書いている。
その演奏は、ロマン的といわれているが、実際にはゆったりとしたテンポで一つひとつを大切に確かめながら進んでいく音楽という印象だ。
1936年の録音というから、もちろんSP時代であるが、電気録音だろう。オルガンの響きが十分に伝わってくる。
シュバイツアーのバッハ2
音楽を上手下手で語ることがいかに空しいことか、この音楽をきくとわかる。
BWV656 O Lamn Gottes Schuldig おお、罪無き神の子羊よ
大地のような低音が大きな河の流れのようにすすむ、その上にきらめく光は高音のコラールのメロディー。耳を澄ますと、人の声のような中音の対位メロディー。
BWV654 Schmucke dich, o liebe Seele 装いせよ、わが魂よ
この曲は中音にコラールメロディー。暖かな暖炉の火を見つめているような心地だ。
BWV665 Jesus Christus unser Hieland われらの救い主、イエスキリストよ
ダイナミックな下降する音が、イエスが地上におりてくるのを表しているように聞こえる。
BWV625 Christ lag in Todesbanden 死の縄目に繋がれたまいし
キリストは慟哭するバス。それをバックに悲しいアリアを歌う。
BWV629 Erschienen ist der herrlich Tag 栄光の日は現れたり
短いがはっきりとしたコラール。*充実した音楽は、短くても満足を与えてくれる。演奏する人の人間味が滲み出た音楽は、大オーケストラの名演よりも心に残った。
ハイファイ録音の素晴らしさは、私達オーディオファンの求めるところではあるが、ときにそれを録音の限界を超える演奏に出逢うものだ。そんなときはオーディオファンであることを恥かしく思うときである。なぜなら、音楽はそこにあるのであって、私達がそこに創り出すものではないからである。それでもなお、素晴らしい「音楽」を求めて、再生芸術の暗闇を私は歩き続けるのだろう。
シュバイツアーのバッハ
アフリカで病院の建設につとめ、ノーベル平和賞を受賞した20世紀の偉人、、シュバイツアーのバッハオルガン演奏である。
彼はミュールハウゼンとパリで正式にオルガン演奏を学び、敬けんな信仰心からバッハの音楽を研究し、本も書いている。
その演奏は、ロマン的といわれているが、実際にはゆったりとしたテンポで一つひとつを大切に確かめながら進んでいく音楽という印象だ。
1936年の録音というから、もちろんSP時代であるが、電気録音だろう。オルガンの響きが十分に伝わってくる。
シュバイツアーのバッハ2
音楽を上手下手で語ることがいかに空しいことか、この音楽をきくとわかる。
BWV656 O Lamn Gottes Schuldig おお、罪無き神の子羊よ
大地のような低音が大きな河の流れのようにすすむ、その上にきらめく光は高音のコラールのメロディー。耳を澄ますと、人の声のような中音の対位メロディー。
BWV654 Schmucke dich, o liebe Seele 装いせよ、わが魂よ
この曲は中音にコラールメロディー。暖かな暖炉の火を見つめているような心地だ。
BWV665 Jesus Christus unser Hieland われらの救い主、イエスキリストよ
ダイナミックな下降する音が、イエスが地上におりてくるのを表しているように聞こえる。
BWV625 Christ lag in Todesbanden 死の縄目に繋がれたまいし
キリストは慟哭するバス。それをバックに悲しいアリアを歌う。
BWV629 Erschienen ist der herrlich Tag 栄光の日は現れたり
短いがはっきりとしたコラール。*充実した音楽は、短くても満足を与えてくれる。演奏する人の人間味が滲み出た音楽は、大オーケストラの名演よりも心に残った。
ハイファイ録音の素晴らしさは、私達オーディオファンの求めるところではあるが、ときにそれを録音の限界を超える演奏に出逢うものだ。そんなときはオーディオファンであることを恥かしく思うときである。なぜなら、音楽はそこにあるのであって、私達がそこに創り出すものではないからである。それでもなお、素晴らしい「音楽」を求めて、再生芸術の暗闇を私は歩き続けるのだろう。

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2004.02.17

アナログ三昧3 Bach 無伴奏

J.S.Bach 無伴奏バイオリンのためのパルティータ アルテュール・グルミュオー BWV1001〜1006
                                 by SOUNDBOX
バッハの無伴奏を、無人島につれていくレコードに決めた。
同じ無伴奏でも、チェロのソナタはカザルスのSP録音にまさるものはないのだが、この6曲のバイオリンのソナタ・パルティータは多くの名演奏がある。
メニューインの若き日のSP録音、シェリングのステレオ録音、バロックバイオリンを使ったS.クイケンの2回の録音はこの曲に新しい魅力を教えてくれた。
その他数限り無い録音があることだろうが、私が無人島へもっていくとしたら、このレコード。
1960年末から61年にかけて録音されたアルテュール・グルミュオーのフィリップス録音。彼はこの一回しか録音していないそうだ。
フランコ・ベルギー派のどこか朴訥だが、太く暖かな音を録音はよく捉えている。
アナログ録音、しかもステレオ録音の最も安定していた60年代、響き豊かな録音だが、最近の録音のような影の薄さがない。
この曲は、一度に多数の音を出せないバイオリンという旋律楽器の限界を超えて、ポリフォニーを一挺の楽器から紡ぎ出すという不可能を前提にしている。
したがって、響くべき和音はアルペジオ(分散和音)になっている。ところが、わたしたちの想像力を刺激して響きを立体的にしているから不思議だ。
バロックバイオリンは現在よりもコマが低く、平板で、弦の張りも弱かったので、、和音を演奏するのは簡単だったそうだが、それでも複数の和音を一度には無理。
以前、一度に和音を演奏できる「バッハ弓」というのが考案されて、和音を普通に演奏していたが、その演奏はとても平板できいていられなかった。
不可能な演奏を分散和音にすることで、想像力によって頭の中に立体的に構成される世界があまりに豊かであるからかもしれない。
それが、バッハの意図したものかどうかは、わからないけれど・・・
グリュミュオーの演奏にもどろう。ロマンティックな演奏からはかなり遠い、なんというのだろう古典的でもない、現代的というべき演奏かもしれない。
私達オーディオファイルからするとかれの演奏云々より、その豊かな音を聞かせてもらうだけで満足してしまう。
クララ・ハスキルと録音したモーツアルトやベートーベンなどと並べると、ぐっと主張の強いはっきりとした演奏で、音も強い。
けれど、やはりグルミュオーの音だ。
シェリングの録音も厳しい気高さを感じさせるが、私はこれをもって無人島にいく。

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アナログ三昧2 リスニングルーム

アナログ三昧2  「リスニングルーム」

                          by SOUNDBOX

最初に採りあげるレコードを何にするかを考えていると、ずいぶん時間がたってしまいました。
まだ、結論がでていませんが、J.S.バッハの曲になりそうです。
でも、その前にそのレコードを聴くためのシステムをご紹介しなければならないでしょう。
何しろレコードの印象は、演奏するシステムやその状態によって、大きくかわるからです。

ステレオサウンド誌では、菅野沖彦氏がレコード演奏家という企画で、再生音楽愛好家を訪ね、オーディオと音楽鑑賞の関係についてなかなか興味深い訪問シリーズを続けておられます。

私もレコードを再生することは、その再生装置をどのように「鳴らす」かということに大きな意味があるという意見に賛成です。
ですから、私のシステムをご紹介するのは、私の音楽鑑賞観に大きな関係があるからであって、オーディオ自慢ではありません。(もちろん自慢できるほどのものでもありませんが・・・)

<アナログプレーヤー>
1. 旧トリオ P-2020 (リムドライブ  スタティックバランスJアーム付き)
2. DENON DP3000 ( アーム FR-5 + STAX UA-7)

<カートリッジ>
1. DENON DL-103
2. DENON DL-102(MONO)
3. ORTHOFON SPU-GE
4. ORTHOFON SPU MONO
5. SHURE V-15 Type3

<ステップアップトランス>
DENON AU-103

<フォノイコライザー>
SUN AUDIO

<プリアンプ>
SUN AUDIO

<パワーアンプ>
ELKIT 300B single
SUN AUDIO 2A3 PP

<スピーカー>
1. JBL オリンパス C-50 S7 (LE85+LE15)
2. QUAD ESL 63 PRO
3. HERBETH Compact 7
4. DIATONE PP610
5. WE-100F(パワードモニター)

というような具合です。
とくに、中心となるアナログプレーヤーがトリオのリムドライブプレーヤというのは、自分でもよく使っているなと思うのですが、捨てがたい魅力のある部分があるのです。

アンプはサンオーディオのキットを組み立てたもので、タムラのトランスを使ったストレートな音がします。
どちらかというと現代的な音で、ビンテージもののスピーカーとはどうかなと思いますが、というところです。

スピーカーは学生時代に一世を風靡したJBLが忘れられずに手に入れたものです。
ドライバーとホーンの組み合わせは、やはりダイレクトな音の印象ということでは、この右に出るものがありません。
ビンテージものを求めている訳ではありません。
オリンパスもならすのは難しいスピーカーだと思います。
へたをして、ストレートに鳴らしただけでは、やかましくてとても聞けた音にはなりません。
寺島靖国氏があきらめたスピーカーとしても有名です。
いろいとと試してみて、やっと・・・・という感じですね。
今は、オリンパスにJBLのスーパーツイーターを乗せてならしています。
もう、私の耳の一部のようになっています。
他のスピーカーはそれぞれに相性のよい音楽に使っています。
たとえば、QUAD ESL63は弦楽合奏や、オーケストラに、
WE-100Fは、SP盤を電気再生するときや、どうしてもうまく鳴らないレコードをききたいときなんかです。
ハーベスやダイヤトーンは現在おやすみ中です。でも、なぜかとても聞きたくなることがるのは不思議です。

写真をアップすればいいのですが、テキストだけでもこんなに時間がかかってしまいました。
まだ、第1枚目のレコード評は何にすべきか迷っています。

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